「ありがとうをみつけよう」で育てる、思いやりと自己肯定感|親子の会話・声かけ例
知育ポスター教材「ありがとうをみつけよう」は、助けてもらったこと、待ってもらったこと、一緒にいてくれたことなど、毎日の中にあるやさしさに気づき、言葉で伝えることを考える教材です。親子でポスターを見ながらできる会話、友達との関わりにつなげる声かけ、「ありがとう」を自己肯定感や共感性、協働性を考えるきっかけにする方法を紹介します。
「ありがとう」を見つけることから、子どもの心の対話を始めよう
「ありがとうをみつけよう」は、身近なやさしさや、誰かに助けてもらった場面に気づき、「ありがとう」を言葉で伝えることを考える知育ポスター教材です。
教材では、助けてもらったとき、待ってもらったとき、一緒にいてくれたときなどに、「ありがとう」を見つけられると伝えています。子どもにとって「ありがとう」は、覚えるべきあいさつだけではありません。自分が受け取った親切に目を向け、相手との関わりを振り返るための言葉にもなります。
大切なのは、子どもに「ちゃんと言いなさい」と急がせることよりも、「どんなことがあったかな」「そのとき、どう思ったかな」と一緒に確かめることです。親子の会話を通して、子どもが自分の気持ちと相手の行動を結びつけて考えられるようにしていきましょう。
ポスターを見ながら楽しむ、親子の会話
まずは、ポスターにある「ありがとう」を親子で探してみます。正解を当てる活動にする必要はありません。子どもが見つけたこと、思い出したことを受け止める時間にしてみてください。
見つけるときの声かけ
- 「ポスターの中で、どの『ありがとう』を見つけた?」
- 「誰かが助けてくれた場面はあるかな?」
- 「待っていてくれた人はいたかな?」
- 「一緒にいてくれて、うれしかったことはあった?」
- 「今日は誰に『ありがとう』を伝えたい?」
子どもがすぐに答えられないときは、大人が自分の出来事を短く話す方法もあります。
「さっき、おもちゃを片づけてくれたから助かったよ。ありがとう」
「お話を聞いてくれてうれしかったな。ありがとうって伝えたいな」
このように、何に対して感謝しているのかを具体的に言葉にすると、子どもも「ありがとう」を見つける視点を持ちやすくなります。
気持ちまで尋ねてみる
教材には、「『ありがとう』と言われたら、どんな気持ちになるかな」「どんな顔で言うと相手に伝わりやすいかな」と考える問いもあります。言葉そのものだけでなく、言われた人・伝える人それぞれの気持ちに目を向ける問いです。
たとえば、こんな会話ができます。
親:「お手伝いしたあとに『ありがとう』って言われたら、どんな気持ち?」
子:「うれしい」
親:「うれしいんだね。じゃあ、相手にうれしい気持ちを届けたいときは、どんな顔で言えそうかな?」
子どもが「にこにこ」「目を見る」などと答えたら、その考えを評価するより、「そう思ったんだね」と受け止めましょう。言葉、表情、相手に向ける気持ちを、親子で試してみることができます。
共感性・思いやりを考えるきっかけにする
共感性や思いやりについて、家庭では難しい説明から始める必要はありません。「相手はどんな気持ちだったかな」と想像する小さな会話が、その入口になります。
「ありがとうをみつけよう」にある、助けてもらう、待ってもらう、一緒にいてもらうという場面は、相手の行動に気づく練習にもなります。
「してもらったこと」と「相手の気持ち」をつなぐ
たとえば、子どもが順番を待ってもらったと話したときには、次のように聞いてみましょう。
「待ってくれたんだね。その子は、どんなふうに待ってくれたのかな?」
「待ってもらえて、あなたはどんな気持ちになった?」
「今度、誰かが待っているときにできそうなことはあるかな?」
ここで「次はあなたが待ってあげなさい」と結論を急ぐよりも、子どもの感じ方や考えを聞くことが大切です。相手の行動を見つけ、自分の気持ちを言葉にし、次の場面を想像する。この流れを親子で繰り返すことが、思いやりについて考える時間になります。
友達との関わりで使える言葉を集める
教材では、友達と仲よくするための言葉や、やさしい言葉を集めることも提案されています。家庭で「わが家のやさしい言葉」を考えてみるのもよいでしょう。
- ありがとう
- どうぞ
- まっててね
- いっしょにやろう
- だいじょうぶ?
- きいてくれてありがとう
言葉を増やすことだけが目的ではありません。「どんなときに使う言葉かな」と場面を一緒に考えることで、子どもは友達や家族との関わりを具体的に想像できます。
協働性につなげる家庭での工夫
協働性とは、誰かと一緒に取り組む場面で、相手と関わりながら進めようとすることを考える視点の一つです。「ありがとう」は、共同で何かをしたあとに、お互いの行動に気づく会話にも使えます。
たとえば、片づけや食事の準備などを親子で行ったあとに、結果だけで終わらせず、それぞれがしたことを言葉にしてみましょう。
親:「一緒に片づけられたね。あなたは本を集めてくれたね」
子:「ママは箱を持ってた」
親:「見ていてくれたんだね。箱を持てて助かったよ。ありがとう」
子どもから大人への「ありがとう」を求めるだけでなく、大人も子どもへ具体的に感謝を伝えることがポイントです。また、子どもが大人の働きを見つけたときには、言葉にできなくても構いません。
「気づいてくれたんだね」
「『ありがとう』って思ったんだね」
このように、気づいたこと自体を受け止めると、「言わなければならない」という負担を小さくしながら、関わりを振り返る時間にできます。
自己肯定感の観点では、「言えたこと」だけをほめない
「ありがとう」を伝えられたとき、つい「えらいね」と言いたくなるかもしれません。もちろん喜びを伝えることは大切です。ただし、言えた・言えないだけで子どもを評価すると、子どもが気持ちよりも正解探しを優先することがあります。
自己肯定感を大切にしたいときは、子どもの気づき、考え、選んだ伝え方に注目してみましょう。
「助けてもらったことを覚えていたんだね」
「ありがとうって思ったんだね」
「恥ずかしかったけれど、伝えようとしたんだね」
「言葉じゃなくて、にこっとしたんだね」
こうした声かけは、子どもが自分の気持ちを持つことや、相手に伝えようとすることを尊重する会話になります。子どもが言葉にできない日があっても、「次はどんな『ありがとう』を見つけたい?」と、次の機会へ穏やかにつなげてみましょう。
非認知能力を考えるための、家庭での小さな習慣
共感性、思いやり、協働性、気持ちを伝えようとする姿勢は、テストの点数だけでは捉えにくい力として語られることがあります。本教材は、こうした力を直接測ったり、特定の効果を示したりするものではありません。一方で、家庭で日々の出来事を振り返り、相手の行動や自分の気持ちについて対話するための素材にはなります。
より丁寧に取り組むなら、寝る前や食事のあとなど、続けやすい時間に一つだけ問いを置いてみてください。
- 「今日、誰かがしてくれたやさしいことはあった?」
- 「今日、誰かの役に立てたことはあった?」
- 「明日はどんな『ありがとう』を見つけたい?」
答えが「ない」「わからない」でも大丈夫です。親が答えを教えるのではなく、子ども自身が日常を見直す余白をつくることを大切にしましょう。
「ごめんね」と「ありがとう」の違いも、親子で考える
教材では、「ごめんね」と「ありがとう」の違いを話すことも提案されています。この二つを、単純に正しい・間違いで分けるのではなく、どんな場面でどんな気持ちを伝えたいのか考える題材にできます。
たとえば、友達にぶつかってしまい、そのあと荷物を拾ってもらった場面なら、「ごめんね」と「ありがとう」の両方が出てくるかもしれません。
親:「ぶつかってしまったことには、どんな言葉を伝えたいかな?」
親:「拾ってくれたことには、どんな言葉を伝えたいかな?」
一つの出来事にも、いくつかの気持ちがあることに気づけると、子どもは相手との関わりをより丁寧に見つめられます。
まとめ:毎日の中にある「ありがとう」を一緒に探そう
「ありがとうをみつけよう」は、特別な出来事ではなく、日常にある助け合い、待つこと、一緒にいることに目を向ける教材です。
親子で取り組むときは、感謝の言葉を上手に言うことを目標にしすぎず、子どもが何に気づいたか、どう感じたかを聞いてみてください。大人から子どもへも具体的な「ありがとう」を伝えながら、家族の中にやさしい言葉を増やしていけるとよいでしょう。
今日の終わりに、「どんな『ありがとう』を見つけた?」と尋ねるところから始めてみませんか。
