PANDA GAKUEN 子育て・知育ラボ
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歌の習い事は知育に効く?人気の理由と、家庭で本当に育てたい力

幼児48人を対象にした20日間のプログラムで言語性知能の向上が見られたという研究を手がかりに、歌や音楽活動が知育・育脳にどう関わるのかを整理。人気の理由、期待できる効果、家庭で主体性と非認知能力を育てる関わり方をやさしく解説します。

パンダ先生
PRESIDENT.JP20日間で9割の子供のIQが上がった…幼児48人の研究でわかった幼少期にさせたい「習い事」の種類 | プレジデントFamily Online | プレジデントファミリー オンライン子供のIQを伸ばすには何をするといいか。知育メソッド協会代表理事の高橋和弘さんは「4~6歳の幼児48人を対象にした、わずか20日間のプログラムで、90%の子どもに言語性知能の向上が見られたという研究がある。このプログラムで行なった行為に子供たちが出会うチャンスは日常のいたるろころに転がっている」という――。president.jp/articles/-/116815ページを見る →

歌は、家庭で始めやすい「知育の入り口」

子どもが鼻歌を歌ったり、好きなフレーズを何度もくり返したりする姿を見ると、「歌って、ただ楽しいだけではないのかも」と感じる保護者の方も多いのではないでしょうか。

参考記事では、子どものIQを伸ばす方法として「歌のチカラ」が紹介されています。特に注目されているのは、4〜6歳の幼児48人を対象にした20日間のプログラムで、90%の子どもに言語性知能の向上が見られたという研究です。

ただし、ここで大切なのは、「歌えば必ずIQが上がる」と受け取らないことです。参考情報から確認できるのは、限られた人数・期間のプログラムで、言語性知能の向上が見られたという点までです。どのような内容を、どのような条件で行ったのか、家庭で同じ結果が出るのかまでは、慎重に見る必要があります。

それでも、歌は家庭の中で取り入れやすく、子どもの主体性や自発的な挑戦を引き出しやすい活動です。この記事では、歌や音楽活動が人気を集める理由と、実際に期待できる効果を分けて整理しながら、家庭での関わり方を考えていきます。

歌や音楽活動が人気を集める理由

1. 特別な道具がなくても始められる

歌の大きな魅力は、日常の中にすでにあることです。参考記事でも、幼少期から小学校高学年にかけて、子どもたちが歌と出会うチャンスは日常のいたるところにあるとされています。

習い事として音楽教室に通う方法もありますが、家庭でも、移動中、お風呂、寝る前、片づけの時間など、短い時間で楽しめます。保護者が上手に歌う必要もありません。子どもが「もう一回」と言った歌を一緒に楽しむだけでも、歌との出会いは十分に豊かになります。

2. 「好き」という気持ちが学びの入り口になる

参考記事では、「歌が好き」という純粋な感情が、子どもを学習モードへ誘うエネルギー源になると述べられています。

これは家庭でとても大切にしたい視点です。子どもは、好きな歌なら何度でも聞き、何度でも口ずさみます。大人から見ると単なるくり返しに見えても、子どもにとっては言葉、リズム、音の変化、感情表現にふれる時間になっています。

無理に覚えさせるより、「この歌が好き」「このフレーズがおもしろい」という気持ちを出発点にするほうが、子どもは自分から関わりやすくなります。

3. 言葉・リズム・声・体の動きが一緒になる

歌は、言葉を声に出し、リズムに乗せ、ときには体を動かしながら楽しむ活動です。参考記事では、リズムに乗せて声に出して歌うことで、語彙が深く刻み込まれると説明されています。

このように、歌は「聞く」「話す」「覚える」「表現する」が重なりやすい活動です。だからこそ、知育や育脳の文脈で注目されやすいのでしょう。

実際に期待できる効果:人気の理由とは分けて考える

歌は魅力的な活動ですが、期待できる効果は、根拠の強さを分けて考えることが大切です。

観点 参考情報から確認できること 根拠の強さと注意点
言語性知能 4〜6歳の幼児48人を対象にした20日間のプログラムで、90%に言語性知能の向上が見られた 具体的な研究として紹介されているが、人数・期間は限られている。家庭で同じ効果が出るとは断定できない
語彙の習得 歌詞が心に響き、語彙が知識として刻み込まれると説明されている 理念・解釈としては理解しやすいが、どの語彙がどの程度伸びるかは参考情報だけでは判断できない
学習意欲 「歌が好き」という感情が学習モードのエネルギー源になるとされている 家庭実践のヒントとして有用。ただし、すべての子に同じように働くとは限らない
自己表現 歌詞や声に出す活動が精神を豊かにし、自己成長を促すとされている 期待できる方向性として捉えたい。効果を急いで測ろうとしないことが大切

ポイントは、歌を「IQを上げるための道具」としてだけ見ないことです。歌のよさは、子どもが楽しい気持ちで言葉や表現に出会えることにあります。結果として知的な発達を支える可能性はありますが、家庭ではまず、子どもが安心して歌える環境をつくることが土台になります。

知育・育脳の観点で見る「歌」の強み

言葉をくり返しやすい

歌には、同じ言葉やフレーズがくり返し出てくることがあります。子どもは好きな歌を何度も歌うため、自然に言葉にふれる回数が増えます。

ただし、「覚えた?」「意味わかる?」と確認しすぎると、楽しい歌がテストのように感じられてしまうことがあります。気になる言葉が出てきたら、「この言葉、なんだかおもしろいね」「どんな感じがする?」と会話につなげるくらいが、家庭では取り入れやすいでしょう。

リズムが記憶の助けになる可能性がある

参考記事では、リズムに乗せて声に出すことが、語彙を深く刻むことにつながると説明されています。

家庭では、歌詞を完璧に覚えさせるより、手拍子を入れる、ゆっくり歌う、速く歌う、親子で交互に歌うなど、遊びとして変化をつけるのがおすすめです。こうした小さな工夫は、子どもが「自分でもやってみたい」と感じるきっかけになります。

感情と言葉が結びつきやすい

子どもにとって、歌は感情と結びつきやすい活動です。楽しい歌、少し寂しい歌、元気が出る歌など、歌にはさまざまな雰囲気があります。

「この歌を歌うと、どんな気持ちになる?」と聞いてみると、子どもは自分の気持ちに気づく練習ができます。これは知識を増やすだけでなく、自分の内側を言葉にする力にもつながっていきます。

非認知能力を育てるには「上手に歌う」より「自分から関わる」

非認知能力とは、点数で測りにくい力の総称として使われることがあります。たとえば、粘り強さ、挑戦する気持ち、自分で選ぶ力、人と関わる力、気持ちを調整する力などです。

歌を非認知能力につなげるには、歌唱力を高めることよりも、子どもが主体的に関われる環境をつくることが大切です。

子どもに選ばせる

「今日はどの歌にする?」と聞くだけで、子どもは自分で選ぶ経験ができます。保護者が選んだ歌を歌わせるだけでなく、子どもが選んだ歌を大人が一緒に楽しむことが、主体性を支えます。

同じ歌ばかり選んでも、すぐに別の歌に変えても大丈夫です。大人の目的は、たくさんの曲をこなすことではなく、子どもが「自分で決めた」と感じられる場面を増やすことです。

小さな挑戦を用意する

子どもが慣れてきたら、少しだけ挑戦を足してみましょう。

  • 最後の一文だけ子どもが歌う
  • 親子で一行ずつ交代する
  • 手拍子を入れる
  • 小さな声、大きな声など表現を変える
  • 歌詞の一部を子どもが考えてみる

大切なのは、失敗しても笑ってやり直せる雰囲気です。「違うよ」とすぐ直すより、「今の歌い方、おもしろかったね」「もう一回やってみる?」と返すほうが、自発的な挑戦を守りやすくなります。

結果よりプロセスを認める

歌を知育に活かそうとすると、つい「覚えられた」「音程が合った」「最後まで歌えた」と結果に目が向きます。もちろん達成を喜ぶことは大切ですが、非認知能力を育てたいなら、過程にも目を向けたいところです。

「さっきより長く歌ってみたね」「恥ずかしかったけど声を出してみたね」「自分で歌を選んだね」と、子どもの行動を具体的に言葉にして伝えてみましょう。子どもは、自分の挑戦を見てもらえたと感じやすくなります。

家庭でできる、歌を使った環境づくり

1. 歌う時間を生活の中に置く

「練習時間」を新しく作るのが難しければ、生活の切り替えに歌を使ってみましょう。朝の支度、お片づけ、お風呂、寝る前など、短い歌を一緒に歌うだけでも十分です。

歌が生活の合図になると、子どもは安心して次の行動に移りやすくなります。ただし、歌で無理に動かそうとするのではなく、楽しい雰囲気づくりとして使うことが大切です。

2. 親が正解を持ちすぎない

歌詞を間違えたり、リズムがずれたりしても、幼児期の家庭での歌遊びでは大きな問題ではありません。むしろ、子どもが自由に表現できる余白があるほうが、「やってみたい」という気持ちは育ちやすくなります。

音楽の専門的な習い事として取り組む場合は、先生の指導方針や子どもの様子を見ながら進める必要があります。一方、家庭では、楽しさと安心感を優先してよい場面がたくさんあります。

3. 歌のあとに会話を少し足す

歌い終わったあとに、短い会話を足してみましょう。

  • 「どのところが好き?」
  • 「この歌、どんな気持ちになる?」
  • 「次はどんなふうに歌ってみる?」
  • 「この言葉、聞いたことある?」

質問攻めにする必要はありません。子どもが答えたら、「そう感じたんだね」と受け止めるだけでも、言葉と感情をつなげる時間になります。

歌は「能力を上げる手段」より「自分を表す場」に

参考記事で紹介された研究は、歌や音楽活動が言語性知能に関わる可能性を考えるうえで興味深いものです。一方で、幼児48人、20日間という条件だけをもとに、すべての子どもに同じ効果があると考えるのは早計です。

家庭で大切にしたいのは、歌を「IQを上げるためにやらせるもの」にしないことです。子どもが好きな歌を選び、自分の声で表現し、少し挑戦し、家族に受け止めてもらう。その積み重ねの中で、言葉への関心、表現する楽しさ、挑戦する気持ちが育っていきます。

歌は、特別な教材がなくても始められる知育の入り口です。そして同時に、子どもの自己肯定感や非認知能力を支える、あたたかな親子時間にもなります。

上手に歌えたかどうかより、「今日も自分から歌ってみたね」。そんなまなざしで、家庭の中に歌を置いてみてはいかがでしょうか。


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